私的メモ:2017年に読んだ漫画

特に良かったものを備忘録として

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近藤聡乃『A子さんの恋人』

A子さんの恋人 4巻 (ハルタコミックス)

今面白い漫画は何かと聞かれたらまず初めに挙げる漫画。相変わらず近藤聡乃は絵が上手すぎる。大人たちが「また同じところをグルグル回ってしまう」と自覚していながらも、ぐずぐずと関係を引き延ばしてしまう人間臭さが良い。このループにどう決着をつけるのかが楽しみ。これまであいこのことがあまり好きじゃなかったけど、4巻の奔走っぷりとちゃんと一歩踏み出して関係を進めたところにグッときて少し好きになった。がんばれあいこ。支えろ山田。

 

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平方イコルスンスペシャル』

スペシャル 2 (torch comics)

『A子さんの恋人』と並んで毎話楽しみにしている漫画。一言で言ってしまえば日常的なスクールコメディなのだが、とにかくひとつひとつのセリフが良い。キャラクターごとの日常・リアリティや他のキャラクターとの関係性が会話のテンポやちょっとした言葉のニュアンスに表れていて、それが大きな物語のない会話劇の面白さを支えている。

 

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大童澄瞳『映像研には手を出すな!』

映像研には手を出すな!(2) (ビッグコミックス)

2017年の漫画といって真っ先に上がるのは『映像研には手を出すな!』だろう。パースの効いたセリフやページを大きく使った登場人物が描いた想像力溢れる設定画、シームレスに繋がる現実と妄想など、漫画表現としての新しさにも衝撃を受けたが、なによりも主人公たちのフェティッシュなこだわりと熱量。クリエーターのほとばしる情熱が詰まっている。

 

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板垣巴留BEASTARS

BEASTARS 1 (少年チャンピオン・コミックス)

もう一つの2017年を代表する漫画。獣人たちの青春群像劇。トーンの使い方や描線が少年漫画的でもあり少女漫画的でもあり、その独特な雰囲気はチャンピオンの中でも異彩を放っている。不器用な主人公がもがきながら、動物社会の多様性や共存と向き合っていく様に心を打たれる。個人的には3巻に収録されているメンドリのレゴムの話が好き。

 

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西村ツチカ『北極百貨店のコンシェルジュさん』

北極百貨店のコンシェルジュさん 1 (ビッグコミックススペシャル)

動物漫画といえば『北極百貨店のコンシェルジュさん』もよかった。西村ツチカの優れた画面構成やコミカルでキュートなキャラクターはそのままに(もちろんアップデートはされているが)、今まで以上にキャッチ―になっている。たまに読み返して心をほっこりさせたい一作。

 

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西村ツチカ『西村ツチカ短編集 アイスバーン

西村ツチカ短編集 アイスバーン (ビッグコミックススペシャル)

 

『北極百貨店のコンシェルジュさん』と同日に出た短編集、甲乙つけがたいが強いて言えば短編集の方が好み。少しひねったハートウォーミングな話、物語というよりはコントに近い。特に『ENGLISH CLASS』の底抜けに明るいノリが最高だった。2017年に出た2冊とも"ちょっと大きめサイズ"なのも嬉しい。

 

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朱戸アオ『リウーを待ちながら』

リウーを待ちながら(1) (イブニングコミックス)

アフタヌーンで『ネメシスの杖』や『インハンド』を連載していた医療サスペンス漫画の名手による新作。今回も医療サスペンス、題材はパンデミックもの。日常が徐々に崩壊していく緊迫感で、読んでる最中はページをめくる手が止まらず、読み終わるとぐったり疲れてしまう。同作者の『Final Phase』や元ネタのカミュ『ペスト』も時間を見つけて読もう。

 

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森泉岳土『報いは報い、罰は罰』

報いは報い、罰は罰 上 (ビームコミックス)

その独特な作画方法からなる絵によって常に不穏な雰囲気が漂っているゴシックホラー。物語と絵がこれ以上ないくらいにマッチしていて、漫画における絵の重要さを再認識した。装丁も良く、絵の不気味さも5割増しになるので紙の本としてずっと持っておきたい。

 

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森田るい『我らコンタクティ』

我らコンタクティ (アフタヌーンコミックス)

アフタヌーンで四季大賞をとってからずっと待ち望んでいた森田るいの単行本。凸凹コンビが自作ロケットを飛ばす物語で、良い意味でアフタヌーンっぽい。キャラクターの表情の良さとクライマックスのシーンが魅力的だった。次回作も楽しみだし、『お姉ちゃんの妹』も単行本化してほしい。

 

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斎藤潤一郎『死都調布』

まだ単行本化されていない漫画の中では『死都調布』が最も刺激的。バイオレンスが日常化した調布の乾いた空気、癖の強い線、心地よい飛躍。共感なんぞかなぐり捨てたむき出しの漫画。「CHAPTER.5 IN THE DOGG SOUP」が私的ベスト。夏に単行本も出るみたいで楽しみ。

 

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鶴田謙二『冒険エレキテ島』

冒険エレキテ島(2) (アフタヌーンコミックス)

6年ぶりの新刊。発売日が延期になるたび、このままずっと単行本が出ないんじゃないかと思った。鶴田謙二の高い描写力は2巻でも健在で、枠線の中に描かれた絵は何時間見ても飽きない。次の単行本が出るのはいつになるのだろうか?

 

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伊藤重夫『踊るミシン』

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クラウドファンディングの期間終了間際に駆け込み購入。一般的な漫画のように一つの縦軸に沿ってストーリーが進行せず、場面は唐突に移り変わり、いくつかの小エピソードは回収されずに終わる。何度か読んだが未だに全体像をつかみきれない(掴みきれるような全体像や物語の正しい解釈なんてないのかもしれないが)。固く糊付けされた本が柔らかくなるくらい何度も読み返そう。

 

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